松本善男クリニック



 
 

【統合失調症を理解する 時間をかければ治る】


 統合失調症は、自分の世界への閉じこもり、幻聴や被害妄想、興奮(精神運動性興奮)といった症状が現れる。頭の中が忙しくなって心身ともに休めなくなる病気であるが、周りからはぼんやりしているように見える。
 十年前と異なり、最近発病した人には「時間をかければ、治ります」といえるようになった。先進国では軽症化しており、薬は飛躍的に進歩し、社会の受け止めも変わったためである。
 統合失調症の人は、あがり症、緊張症、心配症、気遣いや、平和主義、慎重、不意打ちに弱い、お人よし、マイペース、人と一緒が苦手、自然が好きなナチュラリストといった特性がある。いいところがいっぱいある。ただ、見方を変えれば、生きるには苦労する。
 そんな特性がある人が、我慢や頑張りを続けて発病する。うつ的な症状が出ることもある。心身症やうつが治らないといって診察に訪れる人が、実は統合失調症であることは多い。その治療をすると良くなる。ほかの病気に隠れた統合失調的な症状を「仮面統合失調」と呼びたい。
 私は、どの病気の治療でも、性格、育ち、いまの環境、不適応な期間がどれぐらいなのかを重視している。症状を直接治療対象にしない。
 統合失調症の人には、反省しない、変わろうとしない、あれこれ考えるより動く、マイペースを大事にする、ことを勧めたい。
 診察では、症状でなく、ペットや映画などを話題にし雑談する。もともと健康な部分をたくさん持っているから、そこでコミュニケーションをとる。焦らせたり、追い立てたりせず、持ち味を尊重する。幻聴は放っておけば遠のくし、ひきこもりも肯定し、安心して一人の時間を過ごせるようにした方がいい。興奮は薬でコントロールできる。
 家族や知人もそんな接し方をしてもらえれば、時間はかかるが、治ります。
                         (文責:網 麻子)



Copyright 2008 Yoshio Matsumoto All Rights Reserved.  松本善男クリニック 心療内科・精神科